年末調整の書き方|主な3つの申告書の記入手順と間違えやすい点
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年末調整の書き方で迷ったら、まず「どの申告書に、何を書くのか」を整理することから始めましょう。勤務先から配られる書類は複数あり、名前も長いため、毎年なんとなく書いている人も多いのではないでしょうか。この記事では、年末調整で使う主な申告書の役割と書き方の手順、間違えやすいポイントを順に解説します。
内容は、2026年11月時点で国税庁が公表している令和8年分の年末調整の案内をもとにまとめています。年末調整の様式や控除の金額は毎年のように見直されるので、書き始める前に国税庁の「年末調整がよくわかるページ」で、その年分の変更点と記載例を確かめておくと安心です。令和8年分では、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例の創設が、主な変更点として案内されています。
この記事の結論
年末調整の書き方は、①扶養控除等申告書で家族の状況を、②基礎控除・配偶者控除等の申告書で本人と配偶者の所得見込みを、③保険料控除申告書で支払った保険料を記入するのが基本です。控除証明書を手元にそろえ、勤務先の締め切りまでに提出しましょう。
この記事でわかること
- 年末調整で使う主な申告書の役割
- 記入を進める5ステップと確認リスト
- 年末調整で受けられない控除の例
年末調整とは?書き方の前に知りたい基本
年末調整とは、会社などの勤務先が、毎月の給与から差し引いた所得税の合計と、1年間の正しい所得税額との差を精算する手続きです。毎月の源泉徴収(給与から所得税をあらかじめ差し引く仕組み)は概算のため、年末に家族の状況や保険料などを反映して調整します。
年末調整で提出する申告書は、勤務先が税額を正しく計算するための材料です。記入漏れがあると、受けられるはずの控除が反映されず、税金を多く払ったままになることがあります。一方で、事実と違う内容を書くと、後から追加で納税が必要になることもあります。
| 主な書類 | 何を伝えるか | 主に書く人 |
|---|---|---|
| 扶養控除等(異動)申告書 | 扶養している家族、障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生などの該当 | 全員 |
| 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書(1枚にまとめた様式) | 本人の所得見込み、配偶者の所得見込み、19歳以上23歳未満の親族の所得見込み、所得金額調整控除の該当 | 全員(配偶者欄などは該当者) |
| 保険料控除申告書 | 生命保険料、地震保険料、自分で払った社会保険料、小規模企業共済等掛金 | 該当する保険料を払った人 |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除の2年目以降の内容 | 該当者のみ |
2つ目の書類は、正式には「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」というとても長い名前で、勤務先では「基礎控除申告書」などと略して呼ばれることがほとんどです。国税庁の案内では、その年の最後の給与の支払を受ける日の前日までに勤務先へ提出することになっています。欄の構成は年分ごとに変わることがあるので、勤務先から配られた令和8年分の様式に沿って記入してください。
年末調整の書き方は?記入を進める5ステップ
年末調整の申告書は、次の順番で進めると書き漏れを防げます。紙でも、勤務先が用意した電子申請のシステムでも、考え方は同じです。
- 控除証明書などの書類を集める:10月ごろから届く生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、国民年金保険料の控除証明書などを1か所にまとめます。
- 家族の状況と所得の見込みを確認する:配偶者や扶養している家族の、その年の収入見込みを確認します。パート収入などは年末までの見込みで考えます。
- 扶養控除等申告書を書く:本人の情報と、扶養している家族の氏名・続柄・生年月日・所得見込みなどを記入します。
- 基礎控除・配偶者控除等の申告書を書く:本人の所得見込みを書き、配偶者がいる場合は配偶者の所得見込みも記入します。様式の計算欄に沿って区分を判定します。
- 保険料控除申告書を書き、見直して提出する:控除証明書の金額を転記し、合計や計算を確認してから勤務先へ提出します。
電子申請のときに気をつけること
勤務先が電子申請を採用している場合は、画面の質問に「はい・いいえ」で答えていくと、必要な申告書が自動で作られる仕組みが一般的です。手書きより計算ミスは減りますが、質問の答えを間違えると、必要な控除がまるごと抜けてしまうことがあります。家族の所得見込みや、保険料の区分を入力する画面では、控除証明書を見ながら1つずつ確かめましょう。
提出前のチェックリスト
- 控除証明書の原本(または電子データ)を添付した
- 家族の生年月日と所得見込みを確認した
- マイナンバーの記載方法を勤務先の指示どおりにした
- 計算欄の合計を見直した
- 勤務先の締め切りを確認した
扶養控除等申告書はどう書く?家族の記入のポイント
扶養控除等申告書は、扶養している家族や、本人が障害者・ひとり親などに当てはまるかを勤務先に伝える書類です。年末調整の時期には、翌年分の申告書もあわせて提出を求められることが多いため、どの年分の用紙かを最初に確かめましょう。
家族ごとに確認したいこと
- 所得の見込み:パートやアルバイトの家族がいる場合、年間の収入から所得を計算して書きます。収入と所得は別のものなので注意が必要です。所得とは、収入から必要経費(給与なら給与所得控除)を差し引いた金額のことです。
- 年齢の区分:扶養控除は家族の年齢によって区分や控除額が変わります。生年月日を書き間違えると区分がずれるので、家族の分は保険証や住民票などで確かめながら書きましょう。
- 19歳以上23歳未満の子ども:アルバイト収入が多く扶養控除の所得の基準を超えてしまう場合でも、一定の所得までなら「特定親族特別控除」を受けられることがあります。こちらは扶養控除等申告書ではなく、2つ目の基礎控除申告書などの欄に書きます。
- 16歳未満の子ども:16歳未満の子どもは所得税の扶養控除の対象外ですが、扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」欄に記入します。住民税の計算に使われるため、空欄のままにしないよう注意しましょう。
状況が変わったときは書き直しが必要
年の途中で結婚、出産、家族の就職などがあった場合は、内容を変更した申告書を提出します。変更があったのに古い内容のままにしていると、年末調整の結果がずれる原因になります。
家族の所得見込みは慎重に
配偶者や子どものアルバイト収入が想定より増え、年末に所得の基準を超えてしまうことがあります。年末調整の後に基準を超えた場合は、勤務先への訂正や確定申告が必要になることもあります。見込みが難しい場合は、勤務先の担当者に相談しましょう。
保険料控除申告書はどう書く?控除証明書の転記のコツ
保険料控除申告書は、生命保険料・地震保険料・自分で払った社会保険料などを勤務先に伝える書類です。基本は、保険会社などから届く控除証明書の金額を、該当する欄に写して計算します。
| 欄 | 書く内容 | よくある間違い |
|---|---|---|
| 生命保険料控除 | 一般・介護医療・個人年金ごとに、新契約・旧契約の区分で記入 | 新旧の区分や、3種類の欄を取り違える |
| 地震保険料控除 | 地震保険料(一定の旧長期損害保険料を含む) | 火災保険料の全額を書いてしまう |
| 社会保険料控除 | 自分で払った国民年金保険料・国民健康保険料など | 給与から天引きされた社会保険料まで書いてしまう |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 自分で払った確定拠出年金の掛金など | 給与天引きの分と重複して書く |
控除証明書に「申告額」と「年末までの見込み額」が両方書かれている場合は、どちらを使うか勤務先の指示を確認しましょう。家族名義で契約していても、自分が保険料を払っていれば対象になる場合があります。
新契約は平成24年1月1日以後に結んだ契約、旧契約はそれより前の契約で、控除額の計算式が違います。国税庁のタックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」によると、令和8年分からは、23歳未満の扶養親族がいる人について、新契約の一般生命保険料控除の上限が引き上げられる特例が設けられています(2026年11月時点)。対象になりそうな人は、申告書の該当欄を見落とさないようにしましょう。地震保険料控除は、地震保険料の部分が対象で、火災保険料の全額ではありません。平成18年末までに結んだ一定の長期契約は「旧長期損害保険料」として扱えることがあり、条件は国税庁のタックスアンサー「No.1145 地震保険料控除」で確認できます。
年末調整で受けられない控除は?確定申告が必要なケース
年末調整では受けられず、確定申告が必要になる控除があります。代表的なのは、医療費控除、ふるさと納税などの寄附金控除(ワンストップ特例を使わない場合)、住宅ローン控除の1年目です。
| ケース | 必要な手続き |
|---|---|
| 1年間の医療費が一定額を超えた | 確定申告で医療費控除を申告 |
| ふるさと納税をして、ワンストップ特例を使わない | 確定申告で寄附金控除を申告 |
| 住宅ローン控除の1年目 | 確定申告(2年目以降は年末調整で申告できる) |
| 給与以外の所得が一定額を超える | 確定申告(副業収入など) |
| 年の途中で退職し、年末調整を受けていない | 確定申告 |
住宅ローン控除は、国税庁の「給与所得者(従業員)の方へ(令和8年分)」でも、最初の年分は確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で受けられると案内されています。このページには、従業員が書く申告書の記載例や、控除証明書を電子データで勤務先に提供する方法もまとまっているので、書き方に迷ったときの確認先として便利です。
副業などで確定申告が必要かどうかの条件は、国税庁のタックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」で確かめられます。
よくある質問
Q年末調整の書類を出し忘れるとどうなりますか?
勤務先が控除を反映できず、税金を多く納めたままになることがあります。気づいた時点で勤務先に相談し、年末調整に間に合わない場合は、確定申告で控除を申告すれば精算できる場合があります。
Q控除証明書をなくしてしまいました。どうすればいいですか?
発行元の保険会社や日本年金機構などに再発行を依頼しましょう。勤務先の締め切りに間に合わない場合は、担当者に事情を伝えて提出時期を相談するか、年末調整後に確定申告で控除を受ける方法もあります。
Q年末調整は電子で提出できますか?
勤務先が電子化に対応していれば、専用のシステムやアプリで提出できます。控除証明書の電子データを取り込める場合もあるため、対応状況と手順は勤務先の案内で確認してください。
Q書き間違えたときは修正テープを使ってもいいですか?
勤務先によって扱いが異なります。二重線で訂正する、書き直した用紙を提出するなど、勤務先の指示に従いましょう。電子申請なら、提出前であれば画面上で修正できることがほとんどです。
SUMMARY
まとめ
年末調整は、勤務先が1年間の所得税を精算する手続きで、申告書はその計算の材料です。扶養控除等申告書、基礎控除・配偶者控除等の申告書、保険料控除申告書の役割を理解し、控除証明書をそろえてから書き始めると迷いにくくなります。医療費控除やふるさと納税など、年末調整で受けられない控除は確定申告が必要です。様式や金額は改正で変わるため、国税庁の案内と勤務先の指示を確認しながら進めてください。
参考にした情報
この記事は、次の公的な情報をもとに、2026年11月時点の内容でまとめています。制度や金額は変わることがあるため、手続きの前には最新の情報を確認してください。
- 国税庁「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」:令和8年分の変更点、各種申告書と記載例
- 国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和8年分)」:従業員が書く申告書、控除証明書の電子データ、住宅ローン控除の初年度の扱い
- 国税庁「A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告」:基礎控除申告書などの提出時期と提出先
- 国税庁「No.1140 生命保険料控除」:新契約・旧契約の区分と、23歳未満の扶養親族がいる場合の特例
- 国税庁「No.1145 地震保険料控除」:地震保険料と旧長期損害保険料の扱い
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」:年末調整のほかに確定申告が必要になる条件

